A. この映画は、ギャング映画への憧れからスタートしました。漠然と語られている男たちの世界を描きたかったとでもいいますか。制御できないほど強くなった犯罪組織をコントロールしようとする目標を正義と信じて、陰謀や背後からの操作という悪の手口を選ぶ警察、これとは対照的に組織のナンバーワンになりたいという欲望を兄弟愛や義理人情という正義の手段で貫こうとする組織のナンバーツー。そして両側の危険な境に位置する一人の男の間で、善悪の区別がつかなくなります。そこには悪党もいなければ善人もいない、三人の男が夢見ていたそれぞれ違う「新世界」が存在するだけです。誰が「新世界」にたどり着けるかという勝負がかかったゲームは迫力がありますが、それより個人の力ではどうしようもない巨大なパワーゲームに巻き込まれながらも、自分が正しいと信じることのために、すべてをかける男たちの姿を表現したかったのです。
Q. 釜山ロケの記憶に残るロケ地やエピソードがありますか。
A. 撮影を行ってみて、釜山が映画の都市といわれている理由を心から納得しました。役所をはじめフィルムコミッション、市民が三位一体となって協力する姿を、他の都市では見たことがありません。映画は組織暴力団を題材にしているため、病院のシーンが多かったです。病院というところは撮影許可を得るのも難しく、撮影そのものも大変な場所です。しかし釜山では全然違いました。東南圏原子力医学院で撮影を行いましたが、圧巻は救急処置室のシーンでした。大規模なアクションシーンの後に組織員が一変に運ばれてくるシーンでしたが、リアルに救急室が血の海になってしまいました。最初は血まみれになるシーンを見て、病院側も少々憚りましたが、撮影が始まってからは、実際の患者さんを他の場所へ移動させるほど寛大な配慮をしてくれました。この場を借りて、感謝申し上げます。
A. 選べませんね。どこも違う景色、違う感じだったため、そういう意味で釜山は毎回新世界でした。撮影期間中、ずっと考えましたが、映画の中のイ・ジョンジェの家を撮影したセンタムシティは、まさに釜山の香港的な場所でした。高層ビルを背景にして家の外観を撮ったシーンは、まさに香港の摩天楼が重なって見えて、「ここは香港?」と勘違いするくらいでした。韓国で一番異国的で高級なイメージを持つ撮影場所として、センタムシティは注目のホットスポットになると思います。そしてフィルムコミッション、釜山市をはじめとする関係機関、そして釜山の市民を考えると、釜山は場所的な意味だけではなく、意識の面で、映画人が夢見る「新世界」だと思います。
進行・まとめ ユ・ジヒ
出所_釜山フィルムコミッション・ニュースレター『映画釜山』3号
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